第3章 【アヴドゥル】もしかして私たち入れ替わってる!?
「こわぁい……でも、私が用事あるのはこっちの体なのよね」
敵が、の体に擦り寄る。
は必死に「やめろ」と叫んでいた。目にうっすら涙が浮かばせて。
「ふふ、可愛いわね。…………惜しいけど、このまま嬲り殺してあげる。私のスタンドが精神を掴んでいる間は、あなた達は身動きすら出来ないのよ。余裕ある勝利をDIO様に報告しなくちゃ。終わったら別の一行を入れ替えて、また遊んであげる」
女の体から、ようやくスタンドの姿が現れた。スタンドから伸びた腕は、私との体に伸びている。掴まれているんだ。
「このまま仲間も助けにこず、可哀想に殺されちゃいなさ〜い!!」
その時、がニヤリと笑った。
「仲間が助けに来ない? チッチッチッ……それはないんじゃあないかな」
私の口調を上手に真似ているが、客観的に見るとチッチッチッは少し恥ずかしいな。と、私は呑気に思ってしまった。この状況で。
「ふふふ……仲間に私の存在を口にしたという訳だな! お前達はもう元には戻れない!」
「言う必要なんかねぇんだよ!!」
途端に、の胸板付近がモゴモゴと蠢く。
「!?」
「相棒は何も言わなくっても来てくれるんだぜ!!」
そこから、何かが勢いよく飛び出した。
意外!それは犬ッ! 激しく吠えたくる猛犬イギーだ。
彼は、敵の顔面にへばりつくと、めちゃくちゃに髪の毛を毟り、放屁を御見舞した。
女は絶叫し、イギーを引き剥がそうと手をバタバタさせて泣きわめいている。
そして、イギーの吠え声と共に彼のスタンドのザ・フールが姿を現した。
砂の暴流が猛突進し、女の体は宙に舞い上がった。
「レッドバインド!!」
私は、私の体で叫んだ。
「よっしゃ行くぜ!!」
は、の体で叫んだ。
かたく握られた拳を突き上げると、のスタンドも同じように動き、力強いパンチが敵にクリティカルヒットした。
「ぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁッ!!」
敵は悲鳴をあげ、遥か遠くに吹っ飛んでキラリと光った。
その悲鳴は、荒野に儚く響いたのだった。
ふんっと荒く鼻息を飛ばしたイギーはの体にのぼり、肩に乗る。