第3章 【アヴドゥル】もしかして私たち入れ替わってる!?
彼の部屋はすぐ近くだ。ノックをするとと、ジョースターさんがすぐに開けてくれた。……私を見てニヤリと笑う。
彼の手が近づいてきた…………! 身構えて、目をぎゅっと瞑ると、頭をポンポンと子供をあやす様に撫でられた。
その後は、部屋に招き入れられ、備え付けのコーヒーメーカーをいじりだす。
そして「今日のは60点だな」と、よく分からないことを言いだした。
「えっと……なに…………?」
「まぁー突然過ぎてワシもびっくりした。まずは第1歩じゃな!」
机にコーヒーカップを2つ置き、ゆっくり注いでいく。
「まぁ座りなさい。飲みながら話そう」
「え、いや、なんの話し……なんだぜ??」
「おかしな奴よのォ。毎晩反省会をしとる
じゃあないか」
ジョースターさんは笑いながら言うと椅子に座り、私は向かい側に腰をかけた。
「(反省会……?)」
何なのかさっぱりだ。生活態度などの反省会なのだろうか。だが、の生活指導は私がしている。ジョースターさんからは何も聞いたことは無かったので、少し心外だ。
「今日は突然自分のことを“私“と言っただろう? 電話での口調もびっくりしたわい」
ギクリとなる私。……いや、オレ!
「いや、あれは、なんというか」
「口調も柔らかいし、落ち着いとる……」
ジョースターさんは、じいっとこちらを見ている。まさか、気付かれている? そう思うと、じっとり汗が額に浮かんだ。
緊張が走った途端、彼はコーヒーをぐいっと飲んだ。
「かなり前だがワシがアドバイスした“女らしい口調にする“をようやく実践する気になったんじゃな!」
「…………!? が女らしく!!?」
「なんじゃ他人事みたいに」
私は、思わず手で口を塞いだ。まずい、これ以上下手な事を言うと気付かれてしまう。
だが、が女らしくって……可愛らしい顔はしているが、天地がひっくり返っても無理があるだろう。
「……珍しい。今日は泣かないんじゃな。えらいえらいのぉ! いつもは、もう終わってるだの無理だの辛いだのワアワアと泣いとるのに……」
ジョースターさんは、幼い孫を愛でるように私の頭をよしよしと撫でる。
あいつが……泣く?