第3章 【アヴドゥル】もしかして私たち入れ替わってる!?
その時、エレベーターが来て共に乗り込んだ。幸い他の乗客はいない様子。風呂や着替えは気にしないが、トイレのやり方くらいはレクチャーしておこう。
「小便器は立って普通にやるんだ。腰の装具を外して、ズボン下ろす。ペニスを持って」
「うわああああああああああ」
エレベーターにの野太い声が響く。
「ティッシュは!!?」
「使わん。終わったら振れ」
「何を!!!?」
頭を抱えている彼女はハッとなって私を見下ろした。……こうやって見ると私は彼女と比べて随分デカいんだなぁ……。
「お前こそ、きっ気をつけろよな! ふ、ふふ風呂の時とか! やたらめったらオレの体を見るんじゃあねーぞ!」
「頼まれても見たくはないね」
「……ふんだ!!」
が顔をぷいっと背けた頃、エレベーターが目的の階に着いた。警戒するように出て、他のジョースター一行がいないかを確認した。
は、ほっとしたようにため息をついて、また私に顔を向ける。
「……ジョースターさんとは二人きりにならないでくれよな」
「は? なんでだ」
無言でずんずん歩く。歩幅がかなり違い、私は彼女の体では走ってついて行く他なかった。
走りながら、私はとジョースターさんの今までの怪しい動きを思い出す。
「(……たまにジョースターさんとコソコソしているが……まさか……そういう関係なのか……?)」
随分と前からそうだ。
いつの間にか2人は部屋で二人きりだったり、内緒話をよくしている。仲が良いのは構わないけれど、彼女の生活指導もしている者としては複雑だった。
は、ニューヨークの街のゴロツキ少女だった。イギーと共に暴れているところを私が捕獲した。
ビルの屋上に逃げられて、エレベーターが無かったから一苦労した覚えがある。
あんまりの粗暴っぷりから最初は男だと思って接したら……本人が「オレは女だッ!」と喚き散らしたんだよな。
一緒に捕獲されたイギーは人間を見下しているが、彼女だけには心を開いている様子。
旅の途中でイギーが多少大人しくなってくれたのは、がいたからだ。
私は前を歩く彼女に静かに声をかけた。
「いいか? ……くれぐれも悟られるなよ」
「お前こそ」