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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第6章 夏の終わり


「あの…?」

そういえば、この家の前に小さな川がある。
もしかしてその川に落ちたのかな…?
農業用の用水だから、そんなに水量なかったはずだけど…

その人の立っている花壇は、もう花が終わった植物が枯れて散らばってる。
なんの花が咲いていたかは、わからない。

かあちゃんが花壇きれいにしようか?って言ってたけど、翔にいは笑って遠慮した。
一人だとなかなか手が回らないけど、ゆっくりのんびりやってれば、そのうちまた花が咲くからって…

その人に近寄ろうと足を踏み出した。

「和也っ…」

後ろから、翔にいの鋭い声が聞こえた。

「え…?」
「その花壇に近寄るな」
「や、でも人が…」

振り返ると、花壇には誰も居なかった。

「えっ…」
「なに一人でブツブツ言ってるんだ…」
「人が居たんだよ…」

翔にいは俺の肩を掴んだ。

「痛っ…」

痛いくらいの力が入ってる。
驚いて顔を見上げる。

「…誰も居ないじゃないか…」
「居たんだってば…!」
「見間違いじゃないのか?」
「え…?」
「…買い出し、行くぞ」


その目には、なんの表情もなかった



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