第6章 夏の終わり
この日は夕飯の時、酒を飲んでて…
翔にいはお酒に強いから、酔っ払ってはいなかったけど、結構な量を飲んでいたように思う。
俺は飲むとすぐ酔っ払っちゃうし、ガキどもの相手をしてたからそんなに飲むことはできてなかった。
だから、シラフに近かった。
「……来てくれたの……?」
とろんとした目をして、翔にいは俺に細い手を伸ばしてきた。
女みたいに白い皮膚の頬が薄いピンク色に染まって、唇は鮮やかな赤。
サラサラの前髪が掛かった目が、誘うように俺を見つめる。
「翔にい…?」
「…嬉しい…」
俺の腕を掴むと、強い力で引っ張られた。
「わっ…」
そのまま翔にいに覆いかぶさるように倒れ込んでしまった。
「翔にいっ…」
「…早く…」
囁くようにつぶやくと、俺の手を取って自分のシャツの中に突っ込んできた。
「ま…待って…」
頭の中が混乱して。
一体なにが起こっているのかわからなかった。
「…触って…?お願い…」
指先に触れた、脇腹の皮膚は…
なめらかで、しっとりしてて…
そして熱かった
鮮やかな赤色の唇が俺の首筋に吸い付いて、緩く舐められた。
ぞわり、背中を何かか走って…
その唇が俺の唇に重ねられると、あの甘い香りに包まれた。