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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


怒ったときの智は、いつも穏やかな口調なのに、切れるように鋭く喋る。
まるで、誰か乗り移ったみたいに。

それがすごく怖い。
だから、俺達は昔から智を怒らせないようにしてた。

でも、間違ったことでは怒らないから…
そして、自分のためだけには決して怒らない。
みんな智のこと、一目置いてる。

そんな智だから、俺は…惚れたんだと思う。

「翔くんがなんで俺たちを避けてるのか…聞いてるんだろ?」
「…それは…」
「言えよっ…潤っ…」

智がいきなり立ち上がって、テーブルが少し浮いた。
ガタンっと大きな音を立てて、乗ってるものが揺れた。
それでも智は気にしないで、潤の肩を掴んだ。

「ちょっ…智っ…」

止めようとした手を抑えられた。

「和也も…俺も…」

じっと潤の目を見た。

「とても、大事なことなんだ。潤、俺たちは翔くんが…」

その時、個室の外から声が聞こえた。

「やー!ごめんごめん!待った…って、あれ…?どしたの?」
「…なんでもない…ね?智…」

智が…とんでもないことを口走りそうだった。
だから、俺はこの話を切り上げた。

だってそれは…いくら俺たちのことを受け入れてくれてるであろう潤や雅紀にも……

到底受け入れてもらえないものだろうから。

「ビールでいい?」

立ったままの智と雅紀を強引に座らせると、店員さんを呼んだ。

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