第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
微妙な空気にはなったけど、雅紀がなんとか盛り上げてくれて。
会が終わる頃には、雅紀も潤も酔っ払って陽気に笑ってたから助かった。
「ごめん……」
帰り道、智がしょんぼりと謝ってきた。
「なに謝ってんの…」
「うん…」
夜の商店街はガランとして…人通りもなく…
俺と智の間は、ちょっとだけ隙間がある。
「焦らないの…智…」
「…わかってる…」
「探偵さんの調査が終わるまで…ね?」
「うん…わかってるんだけど…」
ほうっと息を吐き出した。
今晩は冷えていて、息が白い。
「翔くんが…泣いてる気がする…」
「智…」
急に智が立ち止まった。
「…でも…」
「ん…?」
「嫌われてたら…どうしようもないのにな…」
「うん…」
なんで…翔ちゃんが急に俺たちを避け始めたのか。
理由は一切わからない。
わからないけど、あの時俺達の間にあった変化…
それは俺と智が付き合い始めたこと。
もしかして、翔ちゃんはそんな俺たちを軽蔑してるのかもしれない。
男同士なのに、異常だって思ってるのかもしれない。
俺たちは…大事な人を失ったのかもしれない…
「帰ろ…?智…」
そっと手を握ると、冷え切っていた。
「うん…和也…」