第6章 夏の終わり
今年の夏は、異常に暑くて…
こんな田舎の家でも、深夜になっても室温が25度を上回るほどで。
田舎の家だから、エアコンのある部屋は少なくて。
姉貴一家と、うちの両親はエアコンのある部屋で寝ていた。
翔にいは、自室だからもちろんエアコンはついてる。
ガキどもの相手に疲れた時、ちょっと休ませてもらったし。
俺は一人で寝たかったから、一番涼しくてエアコンのない部屋を割り当てられてた。
もちろん扇風機はフル稼働。
でも、横になってるうちに、汗まみれになってきた。
それでも一時間くらいは、なんとか寝ようと頑張ってみたんだが…
このままだと熱中症になる。
そう思って、押入れの匂いのするタオルケットを剥いで起き上がった。
「…どーすっかな…」
枕を持って、座敷を出た。
しょうがないから、どっかエアコンのある部屋に潜り込むか、広いから申し訳ないけど居間のエアコンをつけて寝かせてもらうか…
姉貴たちの部屋の前に立つが、寝静まってて明かりも消えてる。
両親の部屋も同様に、真っ暗になってた。
田舎の夜は、真っ暗で。
部屋の電気が消えてると、まじで何も見えない。
だから真っ暗な部屋に入ると、踏んづけて怒られそうで、入れなかった。
そっと足元灯の点いている廊下を歩いて、翔にいの部屋の前まで来た。
部屋の中にぼんやりと小さな明かりが見えて、ホッとした。