第22章 diable aux cheveux d'argent
目を開けると視界が霞んでいた。
「……?」
息苦しい。
胸が焼けるように熱かった。
自分の脈動が痛みになって伝わってくる。
「う……」
口元になにか着いている。
酸素マスク…?
天城はぐるりと目だけで周囲を見渡した。
霞んでいた視界が次第に明瞭になってきた。
そこは白い部屋だった。
東城大附属病院の病室。
「ジュノ…」
ベッドの傍には世良が椅子に座ったまま居眠りをしていた。
こくりこくりと頭が揺れている。
思わず微笑んだ天城は、大きく一つ息を吸い込んだ。
家に帰って寝ればいいのに…
このバカ…
目を閉じて、右手の指先を動かしてみる。
天城はまた一つ息を吐き出した。
動く…まだ、俺の指は動く…
やらなければならないことがある
命の続く限り
その時、視界を黒い影が遮った。
「…邪魔」
影は居眠りしている世良の肩をトンと弾いた。
「うわっ…あっ…渡海先生!」
「居眠りするなら帰れ、バカ」
「いやっ、そんなつもりは…」
「邪魔」
咄嗟に天城は目を閉じた。
どうしてここに双子の弟である渡海が居るのか、わからなかった。
突然の再会に心臓が止まりそうだった。
「…まだ起きないのか?」
「ええ…まだ意識は戻っていません」
「もう麻酔、切れてもいい頃だろ?」
「はい」