第21章 1997年6月17日
相葉ちゃんが慌てて腕時計を見た。
「やべ!総武線の終電とっくになくなってる!」
「えっ…」
「あ、ほんとだ」
日付はとっくに変わって、終電の時間を大幅に過ぎていた。
そういえば、公園の周囲のざわめきが少し小さくなっている気がする。
それぞれリュックに駆け寄ってピッチや携帯を取り出した。
「あ~…親父だ」
「姉ちゃん…」
「家だ」
それぞれ、家族から連絡が来ているようだった。
結局、しこたま怒られて。
代々木まで親たちが迎えに来ることになった。
その電話が終わったら、なんだかクタクタになって。
俺達の自主練は終わった。
「あー…なんか、疲れたな」
「すごいもう、何時間踊ったのかな」
「結構やったよね」
公園内にある自販機で飲み物を買って、近くのベンチで3人で座って飲んだ。
スポーツドリンクが、体に染みた。
「なんか蒸し蒸ししてるから、汗すごくかいたね」
「そうだね、風間ぽん」
途中から、ニノがまた無口に戻っていってるのに気づいた。
隣に座ってる相葉ちゃんを意識してるのか、顔が赤い。
「ニノ?どうした?具合でも悪い?」
「ううん…」
小さく首を振ると、また地面に視線を落とした。
「なんだよ。足でも痛めた?」
「ちがうよ」