第21章 1997年6月17日
「ここで、ボックス踏んで…」
「イチ・ニ・サン・シ…で、次なんだっけ、サイドステップ?」
「次は移動パートだから、フリは特になくなかった?」
「そうだったと思う。ちょっと音楽止めるね。ここまでおさらいしよう」
「わかった」
「うん」
ニノがリーダーっぽくなって、俺と相葉ちゃんがそれを補う感じで自主練は続いた。
不思議と、いつも無口で押し黙ってる天邪鬼なニノは一切出してない。
むしろ…真面目で、ぐいぐい引っ張ってくれる頼れる男って感じで…
また新たなニノの顔を見てしまってちょっと戸惑ってしまったが。
この状況ではやるっきゃなかった(古)。
それに相葉ちゃんはそんなニノをすんなりと受け入れている。
「あーっ…ここだめだ。ニノもう一回ステップやってみて?」
「だから、こう体重をこっちに掛けたまま、足を地面を擦るみたいに蹴り上げて、その瞬間右足をこう蹴り上げるの」
終電の時間が近づいているけど、終わることができない。
時計を見ながらちょっとだけ焦る気持ちはあったけど、熱中してる二人の姿をみてたら、途中から気にもならなくなっていった。
薄暗い中、3人でずっと今日踊れなかった分を取り返すように踊りまくった。
なんか、ちょっとだけ気持ちよかったり。
ふたりと、ちょっとだけ距離が近くなった気がしたり。
「あれ?」
もう何時間経ったかわからなくなった頃…
一斉に俺達のリュックに入っている、ピッチ(PHS)や携帯電話が鳴り出した。