第21章 1997年6月17日
「は~…よかった…」
相葉ちゃんが俺とニノの肩を抱き寄せて、泣きそうな声でつぶやいた。
「…なにがよかったのよ…」
ニノはもう目が真っ赤だった。
よっぽど悔しかったのか。
それとも、相葉ちゃんを巻き込んでしまったことを悔やんでいるのか。
「だって、追い出されなかっただろ?稽古、見ててもいいってことだよ。だからV6の後ろ付かせてもらえるんだと思う」
「え…?」
ニノがびっくりした顔を相葉ちゃんに向けた。
「よかったな!V6の後ろで踊るの、すっごい楽しいもんな!また前のほうで使ってもらえるように頑張ろうぜ!」
「こらー!相葉、うるさいぞ!」
「はーいっ!すいません!サンチェ先生!」
謝ってから、てへって顔して俺とニノを見た。
「ばかじゃないの…」
「は?バカって言った?」
「ニノ…それはバカじゃないよ」
得意げな顔をしてニノを見ると、怪訝な顔をして俺を見た。
「じゃなんなのよ?」
「スーパーポジティブっていうんだよ」
「あっ、それいいな!風間ぽん!」
「…それこそバカみたいじゃん」
「なんだと!」
「相葉!追い出されたいのか!?」
「ひっ…す、すいませんっ」
口に手を当てて黙ってしまった相葉ちゃんの格好が可笑しくて。
それからニノと二人で笑いを堪えるのが大変だった。