第21章 1997年6月17日
「ふたりが遅刻したのは俺のせいでもありますので、俺もそこで立っています」
そう言って立ち上がった瞬間、バインダーで頭をバコンと殴られた。
「生意気言って水差すんじゃねえ!風間!」
「うう…痛い…」
「社会や芸能界にはルールってもんがあるんだ!そのルールをくだらない理由で破ったのはあいつらなんだ!ルールを破った者は社会から弾かれる!それを今のうちから覚えないと、将来苦しくなるのはあいつらなんだよっ」
ド正面から、肩を掴まれて。
非ジャニーズ系イケメンの先生が『おっしゃる』ことはド正論だった。
「すすすいませ…」
「いいか、おまえらはタレントなんだ!遅刻しましたごめんなさいで済むスタッフじゃねえんだよ!?換えが利かない存在なんだ!これからそんなんでやっていけると思ってんのか!」
「思ってません!すいませんでした!」
相葉ちゃんは半泣きになりながら謝っている。
ニノは唇を噛み締めてサンチェ先生を睨みつけている。
「もういい。おまえらそこで終わるまで立ってろ」
先生に肩を押されて、入口のほうに弾き出された。
「す、すいませんでしたーーーーっ」
小走りになりながら、ニノと相葉ちゃんのとこに行った。
二人は涙目になっていた。
俺もたぶん涙目になっていたと思う。