第21章 1997年6月17日
「えええ…マジ?本当にありがとう!相葉ちゃん!」
「いいってことよ。今度の舞台とドラマ成功だったら母ちゃんがお小遣いアップしてくれるって言うから、来年はもっといいもん上げるからね」
「ええー!?十分だよ!」
それにその舞台とドラマ、俺達も出るし。
まあ俺と違って相葉ちゃんは主演クラスに抜擢だけども。
でもこういうとこが、めっちゃ優しいんだよな…相葉ちゃん。
「はい!ニノにはこっち!」
そう言って、相葉ちゃんはニノのまるっこい手にゲーム機を乗せた。
「……」
「ん?どした?もしかして、気に入らない?」
なんだか固まっている。
どうしたのかと思ってよくみたら、相葉ちゃんに前に貰ったキーホルダーのテトリスをぎゅっと握りしめてる。
「ま…またゲーム機なの?俺もう飽きたのに」
顔を真赤にしてなんとか絞り出したのが、悪態で。
ああ…
このコはなんて不器用なんだろう。
好きな人に、素直にありがとうって言えないなんて重症だ。
「またまた~!今もやってたじゃん、テトリス。好きなんだろ?このゲーム。今度は新しいの買ってきたからさ!」
ああ…
なんて相葉ちゃんは鈍感なんだろう。
ニノがそのゲーム機を使ってるのはあなたが持ってたからなのに。