第21章 1997年6月17日
「なにをおっしゃいますか…二宮お奉行様…相葉殿はそんなこと気にもされていらっしゃらないでしょう」
「……そちも悪よのう…越後屋」
セリフの前の若干の間は、俺の下手くそな小芝居に乗るかどうか考えていたようだ。
「ああっ絶対今、俺のことふたりでバカにしてんだろ!?」
急に相葉ちゃんが俺とニノの肩に腕を回しかけてきた。
「ちょっと暑いでしょ…ただでさえ雨上がりで蒸してるのに」
「俺のわるぐち言ったんだろ!?なあ!?」
「そういうのふたりで言い争ってもらえます?」
「ああっ風間ぽんまで!冷たいっ」
ぎゅううっと相葉ちゃんの腕に力が入って、俺達三人の顔がきゅうっと近づいた。
「おまえら誕生日だからって、いい気になるなよ!?」
そう言って相葉ちゃんの体が俺達から離れていったかと思ったら…
「はい!」
振り返ったら、相葉ちゃんの手の上にはミニゲーム機とミッキーの印刷がされたパッケージのキャラメル味のポップコーンが載っていた。
「誕生日おめでとう!金ねえからこんなんでごめんな!」
こんなんって…
そのポップコーンのパッケージは、インパしないとゲットできないもので。
「相葉ちゃん、ディズニーランド行ったの!?」
「え、うん。日曜日にちょうど行ったからさ。風間ぽん好きだったよね?」