第20章 こちらアラシノ引越センターの…②
「んーん…なんでもない…」
そう言って潤は、あの頃のままの笑顔を見せた。
「しょお!帰ろうぜ!」
あの頃みたいに、俺のこと呼んだ。
「おお。帰ろっかぁ…」
潤が腕を広げて俺のこと待ってる。
もう誰もいないとは言え、ここは勤務先なのに…
困った支社長だ。
お望み通り胸に飛び込んでやったら、ぎゅうっと俺のこと抱きしめる。
いつでも
どんなときでも
潤、おまえは俺を明るい笑顔で照らしてくれる
太陽みたいにニクい奴
頼むから
俺より先に、沈むんじゃねえぞ
「ただいまー」
「ただいまっと…あれ?」
家に帰ると、宅急便の不在通知が来ていた。
どうやら一番遅い便で着いたようだ。
スマホに通知が来ていたが気づかなかった。
もう夜遅いから配達は明日にするしかないが、一体なにが届いたんだろう。
「これ、潤?なに頼んだ?」
「ああ…ハイ」
急に改まったかと思ったら、玄関から急に部屋へ逃げていった。
「え?ちょっと…潤!何買ったんだよ!?」
慌てて革靴を脱いで追いかけると、くるりと潤はこちらに向き直った。
「どあっ…」
ぶつかりそうになって慌てて止まるが、勢い余って潤の胸に飛び込む形となった。
「…積極的じゃないかあ…」
急に艶を纏った声が聞こえてきた。