第20章 こちらアラシノ引越センターの…②
それから1時間後に、大野リーダーの班は無事に応援部隊も含めて支社に帰着した。
「お疲れ様!」
「…おつかれさまっす…」
大野リーダーはヘロヘロになって事務所に入ってきた。
「おお…疲れてんねえ…」
潤が確認書を受け取って、集金してきた現金を俺に渡した。
今日の最後の汚屋敷は現金払いじゃないと駄目ってことにしたから、大野リーダーが現金で回収してきたのだ。
最近では現金で支払うのは滅多にない事で、現金を数え間違えないように俺も支社に残っていたんだ。
大野リーダーが運行報告書にハンコを押すと、裏口から児島さんが顔を出した。
「大野ー!今日飲みに行こうぜ!」
「ああん!?」
「いいだろお?二宮も今から呼び出せばいいし!」
「明日も仕事だろうが!?」
「んなの関係ないって!打ち上げ打ち上げ!」
「毎日打ち上げしてんじゃねえよ!ジジイども!」
「ゴミ片付けて待ってるからよお!」
「人の話を聞け!!大島!!」
「コジマだよ!?」
おお…言うようになったねえ…
潤が苦笑いしてると、大野リーダーは恥ずかしそうにキャップを取った。
髪の毛が四方八方に散らばって、汗でへんなクセが付いている。
今日もよく働いた証拠だ。