• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第20章 こちらアラシノ引越センターの…②







「ふふ…」
「なに笑ってんの?やらしい」

あの頃のこと思い出してたら、背後から声が聞こえた。

「やらしいってなんだよ」

午後8時のオフィス。
もう事務方は全員帰して、残るは現場のひと班。
作業が終わっていないから、潤とふたりで支社を開けて待っていた。

「にやにやしてるからやらしい顔してるって言ってんの」

コーヒーを俺のデスクに置くと、潤はニタリと笑って俺の肩に手を置いた。

「ありがと」

コーヒー片手にぺちぺちと顔を触ってみたけど、そんなやらしい顔とは思えなかった。

ずずっとコーヒーを啜ると、身体に染み渡った。

「ああ…今日ねれねえかも…」
「明日休みだからいいだろ?」

無責任に笑う潤も俺の横に立ったまま、コーヒーを啜った。
それからまた、俺の顔を見てにたりと笑う。

「またやらしい顔してる」

今日はやらしい顔って誂うのが流行してんのか?

「俺の顔がやらしいって思うのは、世界でおまえだけだって」
「え?」

ぽかんとしてる潤のネクタイを引っ張った。

「わわっ…こぼれるだろっ…」
「キス、しろよ」
「…おまえねえ」
「早く」

そう言うと、潤は嬉しそうに笑みを浮かべて軽く唇を合わせる。

「俺んトコの奥さんは職場で盛るような人だっけ?」
「生理なんですぅ」

ぶりぶりっと顎に手を遣ってくねくねしてみたら、ドン引きされた。

「そんなに引くなよ!」

/ 831ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp