第20章 こちらアラシノ引越センターの…②
キョトンとした顔をした潤は、首を傾げた。
「女はいいの?」
「だめに決まってんだろ!?」
「ぶーっ…」
潤は笑いながら、俺の唇にキスをした。
「それは、俺が翔に禁止することだろ?」
思いの外、低い声で。
俺の目を真っ直ぐ見ながら潤が囁く。
「他の女に指一本触れてみろ」
ガシッと俺の股間を鷲掴みにした。
「はうあっ…」
「ココ、使いもんにならなくしてやるからな」
ちびるかと思った。
「し、しねえし」
「ホントだな?」
「ホントだし」
「男も?」
「も!!」
やっと潤は股間から手を離してくれた。
「でも…その心配してないけどね」
「へ?」
「だって翔、このホテルまで一緒に来たし…部屋に入った時のキス、めちゃくちゃ凄かったし」
「お。おう…」
クスクス笑いながら、俺の前髪を掻き上げた。
「…セックス、しよ…?翔…」
「ああ…」
もう、負けた。
負けたよ。
潤の手が、俺を抱き寄せる。
「ずっと…こうしたかったんだ…」
「うん…」
俺もおまえと、また
抜けるような青空の屋上で
なんでもない話をして
サンドイッチを食って
三角パックのオレンジジュースを飲んで
ベンチコートを着て、笑い転げたかった
それから、キスも──