第20章 こちらアラシノ引越センターの…②
「ちょおおお…ちょっと待てぇ…って、ぐえぇぇぇっ」
思わずあげた雄叫びは、潤のバカみたいな力のハグで阻止された。
「ありがとう!翔っ…今日からおまえ、俺のものなっ」
「うっそだろ!おまえだって俺のものだからなっ!?」
なんでこんなとこで負けず嫌いを発動してしまったのか。
お陰で俺達の関係に名前が付きそうになっている。
左脳ではわかってる。
でも右脳では今なら戻れると俺が囁いている。
「嬉しい!翔っ!」
「ああ!俺だって嬉しいよ!潤!」
もうだめだどうして俺はこんなとこで負けず嫌いを(以下略)
「ねえ!彼氏がいい?彼女がいい?」
「……は?」
「俺の、彼氏になる?彼女になる?どっちがいい?」
「…なにを…おっしゃっているのか…」
「俺はどっちでもいいよ!?」
「ええんかい!?どっちでもええんかい!?」
「わあ…翔、ツッコミもできるんだ」
「って、こんくらいテレビで見て覚えんだろ」
潤はふふっと笑って、俺の鼻先にキスした。
「本当に翔の好きな方で、俺はいいんだ」
「潤……」
おまえ…そんなに俺のこと…
「その…潤?」
「ん?」
「…もう、他の男と…」
「え?」
「絶対、他の男と寝るなよ」