第20章 こちらアラシノ引越センターの…②
もう本当にわけがわからない。
それでも体を隅々まで綺麗にしてシャワールームを出る。
別になにかを期待してたわけじゃない。
俺は綺麗好きなんだ。
多分。
ツインのベッドの片方で、バスローブのまま缶ビールを煽ってる潤は、俺を見ると嬉しそうに手招きした。
「もお、風呂長いんだから。早く翔も飲めよ!」
「あ、ああ…」
無邪気なことこの上ないが、さっき俺はこの男と濃厚なキスをすぐそこのドアのとこでしたんだがな…
あれは幻だったのか…?
仕方なく、バスローブのまま空いているベッドに腰掛けると、潤が冷蔵庫から缶ビールを出してくれた。
「どうぞ」
「あ。ども…」
ぷしゅっと缶を開けるが、さっき散々飲んできたからアルコールの匂いには飽き飽きしてて。
ゴクリと一口飲んだら、なんだか満足してしまった。
「飲まないの?」
「ああ…いや、さっき散々飲んできたから…」
ってさっきので、アルコール吹っ飛んでいったけどな。
「じゃあ俺もらっちゃお」
「あんま飲み過ぎんなよ?」
「なんで」
「あんまり強くなかったろ?」
「…いつの話してんの…」
くすっと笑いながら、俺の手にある缶を持っていった。
「もうあれからどんだけ経ってると思ってんの、武蔵さん」
「う、うるせえな…徳川…さん」