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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第20章 こちらアラシノ引越センターの…②


30歳を過ぎての就職活動は難航した。
そりゃ、高望みをしてなかったと言えば嘘になる。

しかしいくらなんでも決まらなさすぎて、生活のために区内のマンションを出て地元に戻った。
ついでに家の近所の引越屋でバイトをすることにした。



そこでなんとよりによって…
潤と再会してしまったのだ。





「うう…なんでこんなことに…」

潤が設定していった熱めのシャワーを浴びながら、混乱が止まらない。
そりゃ酒もちょっと飲みすぎていたけど、どうしてこんなことになった。


最初はよくわからなかった。
初めて作業服を着て朝礼で挨拶した時、目の端に潤みたいにやたら顔の濃いやつがいるのを感じていた。

そいつは俺のことやたら睨んでいるように思えた。
なんであいつは俺のことを睨むのかって思って、思い切って見たら。

まさか、あの潤だとは……


潤は関西の大学を卒業して、そのまま関西で就職をしたということだった。
頑張っていたんだが、つい最近就職先がM&Aの憂き目に遭い。

吸収された会社では旧会社の派閥は片隅に追いやられてしまって、出世の道は閉ざされてしまった。
結局は我慢ができずこっちに戻ってきたということだった。

どうやら俺と同じような生活を懲りずに送っていたようで、潤も同じく妻帯をしていなかった。


という話を、歓迎会の飲み屋の席で聞いて。
そこから先はよく覚えていない。

気がついたら、飲み屋の近所のビジネスホテルに居て。
ビールやら何やら買って、潤とふたりきりで部屋に入って。

キスを、してた。

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