第20章 こちらアラシノ引越センターの…②
「気づくもなにも…そんなスケベなこと考えてるなんて誰も思わねーだろ」
「俺が年中盛ってるみたいな言い方すんなよ!」
「盛ってんだろうが」
そう斬って捨てると、バツが悪そうな顔をした。
「…そんなことねーよ?」
「あるだろうが…受験生なのにとっかえひっかえ」
起き上がると、こっちに戻ってきてサンドイッチの袋を手に取った。
「とっかえひっかえなんてしてないじゃん…」
弱々しく抗議するが、説得力なんて皆無だった。
だって、潤は告白してくる女と片っ端から付き合っては、直ぐに別れるってことを繰り返してる。
モテるから告白してくる女は途切れなくて、潤は常に誰かと付き合ってるって状態だった。
「へえ?俺にはそうは見えないけど?」
「なんでそんな言い方するんだよ」
拗ねたみたいに言うと、サンドイッチの包装を破り一片取り出してぱくりと食べた。
「別に…潤が自覚してないから教えてやろうと思って」
「俺がヤリチンってこと?」
「そうだね。やりやりちんちんだね」
「なにやりやりちんちんって」
「ヤリチンより始末に負えないってこと」
「…ひっでぇ…」
それでも怒ることもなく、もしょもしょとサンドイッチを食べている。