第19章 こちらアラシノ引越センターの…①
「なぁんでだよ…消えんなよ」
「だってもう…恥ずかしすぎる」
「そんな事言うなよ。俺は恥ずかしくないからな?」
「そ、そりゃ。あなたは告白された方だからでしょ?」
ふにゃっと力が抜けてしまったかざまぽんは、ダイニングテーブルに突っ伏した。
「もお…稲葉さんなんだから…」
「なんだよ、それ?」
「稲葉さんらしいっつってんの!」
「そ、そっか?でも、そうやって照れてるかざまぽん、新鮮でかわいいぞ?」
かざまぽんは顔だけ上げてじとーっと俺を見た。
「そういう誤解を招く発言多いんですよね」
「へ?俺?」
「好きって言ってる相手に、応える気がないのにかわいいとか言っちゃダメだって…」
今度こそ、ムカついた。
「なんで決めつけるんだよ!」
「え?」
かざまぽんは目をまんまるにして顔を上げた。
「だって、稲葉さんストレー…」
「応える気がないとか、おまえ俺なのかよ!?どうしてそう言い切れるんだよ!?」
「や、その…ご、ごめん。そんなつもりで言ったわけじゃ…」
「じゃあどういうつもりなんだよ!?人の気持ち勝手に決めつけて、ウジウジして。どうして俺のことが好きなのに、俺の気持ちをちゃんと聞こうとしないんだよ!?」