第19章 こちらアラシノ引越センターの…①
「いや、ほんと誤解しないで欲しいんだけど。男の人に好きって言われたの初めてなんだ」
「そりゃ…そうでしょうね」
「それに徳川さんと武蔵さんのこともさっき知ったばっかりだし、正直今日はいろいろとあって面食らってる」
「うん…」
かざまぽんは俺のこと見ないで、ふいっと横を向いた。
「免疫無いのに…ごめんね。あの人達、悪ノリが過ぎる…」
「と、徳川さんと武蔵さんのこと、あの人達呼ばわりして平気なの、君くらいだよ…」
「もー、いいんです。あの人達にはとっくに俺がゲイだってバレてて、ずっと誂われてたんですから」
「え?そうなの?」
なんか…ちょっとむっとした。
なぜだかはわからない。
「まあ、その道の先輩だから?だから有益なアドバイスもたくさんもらいましたけど…」
「アドバイスって、俺のこと?」
「うん……」
なんかまたむっとした。
全然なぜだかはわからないけど。
「雅紀は懐が深いから、好きって告白したって全然嫌いになったりなんかしないよ、って…」
「え…?」
なんか、見透かされてて怖い反面。
ちょっと嬉しいと言うか。
よく見てんなって感心したと言うか。
「だから、強引だけど…うちに入り込ませてもらった…」
まっかっかな顔をしたかざまぽんは、「もう消えたい」と呟いた。