第19章 こちらアラシノ引越センターの…①
「ごめんな。急にバイトの取りまとめから外して」
「いやっ…そんなの、俺が悪いっていうか…」
「いいや。悪くないのはわかってたんだよ。ただバイトが辞めていく理由がわかんなかっただけでさ。だけど、雅紀が本当に元気なくなっていくのが、見ててさ…。俺が辛くなっちゃったの」
「へ…?」
「だから、バイトの取りまとめから外したの、俺のエゴなの。ごめんな、雅紀」
武蔵さんは俺を見て、にっこり笑った。
「また、復帰してみる?バイトの取りまとめ」
「え…?いいの…?」
「もちろん。繁忙期終わったら、5月からまた移動の時期じゃん?その時期に役職も入れ替える予定だから。また挑戦してみるってことでいいな?」
「う、うんっ…いやっ…はいっ!」
思わず、アクセル踏みこんじゃった。
「うっそだろおぉぉおぉぉまさきぃぃぃぃーーーーーー」
「おおおおお!?どこじゃ!?どこで戦じゃ!?」
「ぎゃあぁぁぁぁ~~~~今月まだインパしてないのにぃぃぃ~~~~~じっぷぅぅぅ~~~~~」
「あ、ああ…ごめんごめん!」
慌ててアクセルから足を外すと、パワーウィンドウを下げた。
「うーーーーーれーーーーーーしーーーーーー!!!」
開いた窓から叫んだら、隣の車線に居た車がびっくりして遠くに行っちゃった。
「あ、ごめんね、ごめんっ」
「雅紀…窓閉めてくれ。俺、花粉症なんだ」
「殿、ごめんね?」
「その呼び方ヤメロ」