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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第19章 こちらアラシノ引越センターの…①


あの頃のクールなかざまぽんはいなくなって、すっかりデレデレの勉強熱心な猫おにいさんになってしまった。

ちょっとおじさん、戸惑っちゃうけど。
でもこっちのかざまぽんのほうが、飾らなくてずっといい。

「稲葉さんて、なんで一人暮らしなんですか?」

どきっとしたけど、かざまぽんが興味本位じゃなく聞いているのがわかったから、正直に答えた。

「猫を愛しすぎて…奥さんに愛想尽かされちゃった」
「…ほお?」

それきり黙ってしまったけど。
きっと自分も将来そうなりそうだって、危機感でも持ったんだと思った。

「さ、ユズちゃん、きぃちゃん。すみれちゃんにご飯食べさせてあげて?」

ユズちゃんときぃちゃんは先住猫で。
ずっと俺と艱難辛苦を共にしてくれてる、勇者たちだ。

奥さんが出て行っちゃったときも、泣いてる俺のそばにぴったりくっついて慰めてくれたっけ…

「いいこだから…すみれちゃんのご飯見守ってね?」

そう言うと、ユズちゃんときぃちゃんは大人しく俺の横でお座り。
それを見たすみれちゃんは、ぴゅ~んと物陰から飛び出してきて、こっちにフーシャー言いながら餌場でご飯を食べ始めた。

「ほら…飛びかかっていかないでしょ?だから大丈夫だよ」
「なるほど…ホントに勉強になる」

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