第19章 こちらアラシノ引越センターの…①
それから病院で暫く預かって貰って、子猫たちは完全に元気になって退院の日を迎えた。
その間に誰があのこたちを引き取るのか、争奪戦になったのはうちの引越センターのいいとこかな?なんてね。
退院前日の、壮絶なアミダクジ戦の結果。
黒の子猫は児島さんのとこ。
そしてグレーの長毛の子猫は俺が勝ち取った。
児島さんのとこは初子猫だけど、うちは先住猫ちゃんが2匹もいるから3匹目の受け入れは容易かった。
それから…
「だぁめだよ!かざまぽん!」
「え?なんでですか?稲葉さん。ケンカ始まっちゃう…」
かざまぽんの受け入れも、案外容易かった。
なぜなら彼は隠しきれない猫ラーだ。
俺あまり他人の趣味ってわからない方なんだけど、俺にもわかるくらいだったからなあ。ふふ…
「もうこの子は先輩猫ちゃんに馴染もうとしてるとこなんだから、多少フーしても見守ってあげて?」
「え…このフーはだめじゃないんですか?猫カフェの子たちはこんなの言いませんでした」
「そりゃもう一緒に暮らして長いからだよ…」
「そうだったんですね…!勉強になります!」
「べ、勉強って…」
こっちの子は、男一人と猫3匹暮らしの部屋にすぐに馴染んじゃった。