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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第5章 約束


そのあとも、いろいろと手続きで回るところがあって、終わった頃にはもう、だいぶ遅い時間になっていた。

二宮がこだわった黒い手帖のことが気になっていたので、慌てて事務所に戻った。

あんなに楽しそうに恋人の恥ずかしがる姿を想像して笑う二宮の、本当に清々しいような笑みが、忘れられない。

とっくにもう同僚たちは帰ってる時間帯で、事務所はシンとしていた。

自分のデスクにカバンを置くと、すぐにファイルを取り出した。
夜食を食べながら、読み進んでいった。


つい夢中になって読んでしまった。
二宮から聞いていた、大野智という人が浮き彫りになってくるようで。

公判でも見たけれども、実際見る写しは、とても字が綺麗だった。

「写真で見たらそんなふうには見えなかったんだけどなあ…」

ちょっとボケッとした色男が、こんな文字を書くなんて意外だった。

メモには本当に細かい記録もあったし、心情を吐露したようなものもあった。
ただの日記のこともあって、二宮が度々出てきたりして…

本当になんでもこの手帖に書いていたんだなって感じだった。

そりゃあ、他人には見られたくないだろう。

写真でしか見たことのない大野智の照れた顔を想像しながら、心の中で謝っておいた。

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