第18章 こちら、アラシノ引越センター!
☆N☆
その声は、ドア越しに聞こえた。
「…よくやったよ、おまえ」
「え…?」
意外なことを言われたから、思わず身体を拭いていてた手を止めた。
「だから、自分を責めるなよ?悪いのは、アイツらだからな?」
「…うん…」
繰り返し…両親や姉ちゃんに、武井の事件のときに言われた言葉。
だけどあのときの俺は、素直に聞くことができなくて…
どこか自分に悪いところがあったんじゃないか
どうして武井に全力で抵抗できなかったのか
そう、繰り返し自分を責め続けてた。
「もう、大丈夫じゃね?」
「え?」
「あいつ、ぶん殴って倒したんだからさ。おまえ、ちゃんと進化してるから」
進化って…類人猿かよ俺は…
「そ…それを言うなら、進歩だろぉ…?」
言ってるうちに、何か熱いものが喉の奥から込み上げてきた。
「そ、そうか。進歩、だな。進歩。それだ、うん」
「うん…進歩、したよね?俺」
「……うん。大進歩だ」
なるべく悟られないようにしたけど涙声になってしまったのに気づいたのか、大野さんの返事にはたっぷり間があった。
お風呂のお湯を抜いちゃったからちょっと寒くなってきて。
そっとドアを開けたら、大野さんが床に正座して涙目になってた。
「大野さん…」
「だあっ…!おまえタオルっ…」
「え?巻いただけじゃだめだった!?」
「ち、ちげえわっ…いや、ちがわねえわっ…」
「どっちだよお…」