• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第18章 こちら、アラシノ引越センター!


大野さんは微笑むと椅子に座る俺の前にしゃがみこんだ。
俺の震えてる手を見るとそっと両手で包み込んでくれた。

「藤島を気絶させたの、ニノだぞ?」
「うそ…俺が…?」
「うん。いいパンチだった」

全然覚えてない。
必死だったから、俺が何をしてどうなったかなんて全然わからない。

「ほんと…?」

大野さんはニッコリ笑うと、腫れ上がってる俺の左の拳を見せてくれた。

「俺のこと守ってくれてありがとうな、ニノ」

その大野さんの言葉を聞いて、震えが止まった。

「今まで、現場で鍛えた甲斐があったな」
「…うん…」

溢れてくる涙が邪魔で、拳が良く見えなくなってくる。
そう思っていたら、俺の手にタオルが載せられた。

「風呂、準備してくる」

大野さんが台所から出ていくと、途端に涙が止まらなくなった。

「うう~…」

タオルを口に当てて、漏れでる声を抑えようとしたけどだめだった。

お風呂を洗う水の音を聞きながら、わんわん泣いた。
こんなに泣いたの、子供の頃以来だ。

「ニノ…」

風呂から出てきた大野さんは、俺の顔を見ると苦笑いした。

「これじゃ…また鼻と喉が腫れて、風呂入れないな」
「うう~…」

ぽんぽんと俺の頭を撫でると、冷蔵庫からビールを2缶出してテーブルに置いた。
それからダイニングセットの椅子を向かい側から持ってくると、俺の近くに座った。

俺にビールの缶を握らせると、自分も1缶手に取った。

「ニノのパンチに、乾杯」
「か…かんぱぃ~ううう…」

キンキンに冷えたビールは、爽快に喉を通過していった。
そして俺の涙も、どっかに通過していった。

「大野さん…ありがとう…」

/ 840ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp