第18章 こちら、アラシノ引越センター!
☆N☆
大野さんのアパートに着いた。
急いでたから息が上がってる。
鉄階段の下に、大野さんは自転車を停めた。
鍵を締めるとすぐ近くの部屋のドアの鍵も開けてくれた。
「さ、ニノ。早く」
「うん…」
部屋の中に入った途端、力が抜けて荷物と共に三和土に座り込んだ。
「ニノ!?」
大野さんが慌てて俺を起こそうとするけど、差し出してくれた手を握ることさえできなかった。
「…ごめん」
大野さんはつぶやくと、リュックと荷物を台所の中に入れてしまってから、俺の体を抱き上げた。
「風呂、入れるか?」
そう言われて見ると、俺は泥まみれになっていた。
乾いた泥や草が、台所の板張りにポロポロと落ちている。
「う…うう…」
なんて、非力で
「ニノ…」
情けない、情けない、情けない
「泣くな」
涙が勝手に溢れ出てくる。
俺が非力じゃなかったら。
力さえあったら。
武井にも藤島にもあんなことさせなかったのに…!
「大野さん、俺っ…」
「うん…」
悔しいよ
苦しいよ
どうして俺はこんななんだよ
「でもニノ」
そう言うと、大野さんは俺を台所の椅子に座らせてくれた。
「おまえ、藤島を殴り倒したんだぞ?」
「え…?」