第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「ふぁ~…」
「大野?聞いてるのか?」
「ああっ…はっ…いや、すんません!聞いてないっす!」
「嘘だろ…目開けたまま寝てたの…?」
どっと事務所が湧いた。
その中には、稲葉さんと風間もいる。
『俺も最近、風間と一緒に暮らし始めたんだよ?』
それって、そういうこと。
だよなあ…?
明日の確認も終わって、自転車で会社を出た。
「あ、ニノに連絡してなかった…」
なんかあまりのことに、頭が回ってなかった。
徳川さんと武蔵さんが…手、繋いでた…
そんで、稲葉さんと風間が同棲してる…
「むあーーーー!」
ニノに連絡するために、自転車を止めてリュックからスマホを取り出そうとした。
「あれ?」
会社からの道は、真っ暗で。
特にこの道は企業保有のグラウンドの傍を通っている道で、真っ暗だ。
この時間になると人通りがあまりない。
細い道だから車通りもない。
街灯の下で自転車を止めたんだが、その先の真っ暗の中。
道路の端になにか動いた気がした。
「なんだ…?」
ゴミが出してあるのかと思ったけど、良く見たらその傍にはキャリーケースやバッグが落ちてる。
胸騒ぎがした。
リュックを背負い直して、再び自転車を走らせた。
近づくにつれて、揉み合う人影がはっきりと見えた。
「おいっ…」
大声を出した。
こうしたら逃げるかなって思ったんだ。
でも、振り返った人影は俺を見ると、逃げずに声を張り上げた。
「てめえ!大野!」
「藤島っ…」
藤島の下には、人がいて…
チャリンコのライトの明かりがこの人に当たった。
見覚えのある青白い顔。
「ニノっ…!」
藤島が組み敷いていたのは、ニノだった。
「なにしてんだよ…」
「おめえも一緒にボコってやる!」
掴みかかってきたから、殴り倒した。