第18章 こちら、アラシノ引越センター!
☆O☆
その日の午後は最悪の現場だった。
汚部屋に全荷物未梱包。
普通こういうお宅は断って帰るんだけど、お客がどうしてもって粘って帰してくれなくて。
結局、割増料金を貰うことで話がついて、梱包から作業することになった。
でも今は閑散期だから、出ている作業員の数も少なかった。
だから休みになってる作業員にも連絡して、来れるやつは来いってことになった。
幸い、引越し先はそんなに距離が離れていなかった。
だから梱包さえ終わってしまえば、後は早かった。
それでも会社に帰れたのは、20時を回っていた。
「お疲れお疲れ!今日は大変だったな」
「とりあえずジュース買っといたから飲んでよ」
事務所には徳川さんと武蔵さんが残っていた。
あとの事務の人は帰ったのか、事務所はがらんとしていた。
あ、ニノ帰ったんだ。
じゃあ俺も早く帰らなきゃ。
今日はスーツ取りに行って、俺の家に泊まっていくって言ってたからな。
さっさとジュースを貰って帰ろうとしたら、西川班長に呼び止められた。
「大野さあ、明日なんだけど…」
もう、目が。
班長がなんか喋ってるから聞かなきゃいけないのに、目が。
出口から見ると、カウンターと事務所が両方見渡すことができる。
カウンターの外側には、班長や他の作業員が屯してる。
その反対側のカウンターの内側。
そこには徳川さんと武蔵さんが立っているんだが…
手、繋いでるよな…?
俺の視線に気づくと、ふたりはニッコリ笑ってウインクした。