第18章 こちら、アラシノ引越センター!
すんごい…俺のこと考えてくれてる…
なんて、思ってしまった。
その日、大野さんは現場が長引いて帰りが遅くなってた。
俺は定時で上がれたから、一人暮らしの家にスーツを取りに行った。
事務所はスーツ着用が望ましいってことで…
別に作業服でもいいよとは言われたけど、それなら持ってるしということで取りに行くことにした。
大野さんちにも置いておかないといけないから、それからすぐ大野さん家に向かった。
「はぁ…」
大荷物だから、特急には乗らないで各駅停車に乗り込んだ。
幸い乗り込んだとこがすぐに空いて、途中から座ることができた。
ついでに持ってきた衣類でパンパンのキャリーケースを隅に寄せさせてもらって、やっと一息つくことができた。
スマホを確認したら、大野さんはまだ帰ってないみたいだった。
なんか今日の大野さんが行った現場は、ファミリー世帯の汚部屋の上に未梱包だったらしく、最悪の現場に当たってしまったようだった。
上がるとき、現場のいけるとこは皆行って作業を手伝って欲しいと、徳川さんが指示を出しているのを聞いた。
晩飯…どうしようかな。
俺が作っておこうかな。
でも帰りに皆で食べてくるかな?
ふと窓から外を見たら、もう外は暗くなっていた。
流れていく景色に、俺の青白い顔が写ってる。
相変わらず…
たくましくもない。
武井に女扱いされたまんまの俺。
わかってるんだ。
大野さんは、優しい。
きっと仲良くなったら誰にでも優しくすると思う。
俺は特別じゃない。
それに大野さんは男だ
それに俺は、武井にあんなことされた男で。