第18章 こちら、アラシノ引越センター!
☆N☆
「あひゃ?」
作業員のロッカーに入れてある荷物を事務所のロッカーに移すように言われ、事務所からロッカー室のある裏手に回ると、素っ頓狂な声が聞こえてきた。
大野さんの声だ。
思わずドアを開ける手を止めてしまった。
「そっか。まだわかんないか?」
あ、これ稲葉さんの声だ。
ふたりで話してるのかな?
今は繁忙期も終わって、ゴールデンウィークまでの間は予定が閑散としていて、ロッカーも人が他に居ないようだった。
「ま、まだって…?」
「そうだねえ…おーちゃんのニノちゃんを見る目が、さ」
ドキっとした。
俺の名前…?なんで?
「…目が?」
「愛おしい人を見るような目に見えるからさ」
心臓、飛び出るかと思った。
「そ、そんなこと…」
「だって、あのときのおーちゃんの慌てようったらさ。あんなの見たことなかったよ?」
「あの時って…」
「ほら、ニノちゃんが襲撃されたときの朝…ロッカーですみれちゃんやなまこちゃんを見つけたときだよ」
え…?そうなの?
大野さん、どれだけ慌てたのかな。
俺も見てみたかったかも。
「それだけ必死になれる存在がいるって、素敵なことだと思うよ?俺は」
「いや、そんな…」
大野さんの声は戸惑っているようだった。