第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「近所の人も、事件のこと知ってるんじゃないかって思ったら部屋から出れなかった。だから姉ちゃんの勧めもあって、元の会社からも実家からも離れた場所で一人暮らしを始めたんだ」
ニノは溜息をついた。
「それがよかったんだろうね…徐々に俺は回復することができた」
それからニノはちょっとずつ外に出ることができるようになって、ついにはバイトをしようという気持ちが起きてアラシノにバイトの面接に来ることになったそうだ。
「それが…俺が、武井にされたこと…」
なんにも…
なーんにも、ニノは悪くないのに。
自分が犯罪でも犯したかのように、縮こまって。
どうして今も、こんな悲しい顔しなきゃいけないんだ
「悪くない!」
「え…?」
「おまえ、なんにも悪くない!」
「大野さん…」
ぎゅっとまた握りしめられてしまった手を、両手で擦った。
「だから堂々としてればいいんだよ」
そう言うと、ニノの手が動いた。
俺の手の中から出ていくと、俺の手をニノは両手で包んだ。
「人のこと、言えないでしょ?」
「え…?」
「大野さんだって、DVなんかやってなかったんだから。名誉毀損で訴えたらいいんだよ」
「いや、まあ…」