第18章 こちら、アラシノ引越センター!
☆O☆
「そしたら、その菊池が泣きながら言うんだよね。『二宮さん、俺黙ってます』って」
ニノは悲しい顔をして、少し笑った。
「怪我してるのにさ。誰にも言わないっていうんだ。だから俺、なんでって聞こうとしたんだけど…」
ぎゅっと俺の手の中にいる、ニノの柔らかい手に力が入った。
「俺、ほとんど服脱がされてて…頭、真っ白になって…」
泣いてるかと思ったけど、ニノの目からは何も溢れてこなくて。
「でもさ。菊池も怪我してるし、あれだけ派手に武井が暴れたから、もう近所の人に警察に通報されててさ…すぐに警察が俺の家に来たんだ。だから、隠しておくことは難しくて…」
そのまま、ニノは顔を上げて俺から目を逸らした。
「病院に俺も菊池も運ばれたんだけど、俺は寸でのところで菊池に救われて、体は…その、無事だったんだ。でも事件は報道されたし、俺がされたことは報道されなかったし未遂だったけど、そんなの事情を知ることのできる人はどう思うかなんてわかりきってるよね」
ぎゅっと目を閉じた。
「暫く…どこにも行けなくて。実家の学生時代の部屋に閉じこもって…結局、会社も辞めちゃったんだ…菊池にも、姉ちゃんを通じてお礼を言うくらいしかできなかった」
ニノは俺の顔を少し見て、また目を逸した。
暫く、そのまま黙っている。
「怖かったんだ」
手が少し震えたかと思ったら、小さくニノの唇が呟いた。