第18章 こちら、アラシノ引越センター!
部屋の中は、ずっとシンとしてた。
俺の心臓の音はずっと騒がしかったけど、大野さんの手首を握った手の平から伝わってくる熱を感じてたら、だんだん静かになっていった。
「…うん。大丈夫だよ、ニノ」
「ホント…?」
「俺は全然…車道に飛び出していったときまで、全然気づかなかったくらいだから」
「そっか…」
なんだか力が抜けた。
全身に入っていた力まで抜けて、大野さんの手首を握っていた手を離してしまった。
「……」
大野さんはその離した手を、じっと見てる。
「よかったよ。なんか…うわっ」
いきなり、右手を掴まれて。
俺の手を包むようにぎゅっと手を握った。
「ど…どうしたの?」
「いや。手ぇ、冷たいから…ほら、そっちもよこせ」
そう言って、俺の左手まで持っていってしまった。
俺よりも少しだけ大きな手のひらが、俺の両手を包んだ。
そう言えば大野さんの手を温かいと感じるってことは、俺の方が風呂上がりなのに冷えてるってことだ。
それだけ、緊張してたってことだよな…
「その…」
「ん…?」
「嫌だったら答えなくていいんだけど」
「うん」
「その武井ってヤツにされたことって、聞いたら嫌か?」