第18章 こちら、アラシノ引越センター!
☆N☆
心臓があり得ないくらい音を立ててる。
どくんどくんと、自分の頭の血管が脈打ってるのまで感じられるほどだ。
「おぉ…のさん…」
「…どした…?ニノ…」
勇気、出さないと。
今までいっぱい失礼なことしたかもしれない。
でも、大野さんにだけは理解しててほしいから。
言わなきゃいけない。
言わなきゃ…わかってもらえない。
大野さんの手首を掴んだ手が震える。
お風呂から上がったばかりなのに、暑いんだか寒いんだかもうわからない。
なのに変な汗が額に流れてるのを感じる。
じっと、大野さんは俺の目をみてくれてる。
急かすでもなく、じっと俺が落ち着くまで待ってくれてるように感じた。
「…ふう…」
「大丈夫か?一回、深呼吸しろよ?」
「…ふぅー…」
大野さんは掴まれた手首をゆっくりと外して、立ち上がった。
俺の隣に座ると、また俺の手を掴んで自分の手首を掴ませてくれた。
「ぶ……なんで……」
「だって、こうしてるほうが落ち着くんだろ?」
「……うん……」
ごつごつっとした
俺よりも男らしい手首だな…
「ふー…」
落ち着け、俺。
もう一度、目を閉じて、深く深呼吸した。
大野さん、俺ね。
武井にされたこと、いまでも夢に見るんだ。
だから人に触られるの、すごく抵抗があって…
でもね、大野さん。
大野さんなら俺、平気なんだよ。
だから、何回も押しかけるように泊まりにきてごめんね。
他の人とはふたりきりになることも少し怖かったんだ。
もしも、平気になる前…
失礼なことしてたらごめんね?
どうしても体が拒否してしまうんだ。
どうしても自分じゃどうにもできないんだ。