第18章 こちら、アラシノ引越センター!
しばらく頭が熱くて、ぶおーぶおー風の音の中にいたからなにも聞こえなかった。
「…とう…」
でもニノがなにか呟いている声が聞こえて。
髪の毛をワサワサされていたけど、そのまま顔をあげてニノを見た。
「わっ…な、なによ?」
慌ててニノはドライヤーのスイッチを切った。
部屋のなかは随分静かになった。
「え?なんだよ。なんか言っただろ?」
「…嘘だ、聞こえてないでしょ?」
「え?聞こえたって…何?」
ニノは途端に赤くなって。
ドライヤーのスイッチをまた入れた。
「な、なんでもないもん…」
「へ?そうなのか…?」
もういいって言うまで、ニノは俺の頭をこねくり回した。
そして、俺の頭は見事にチリチリにくるくるに乾かされた。
「…おまえ、これどうすんだよ…」
「いいじゃん。どうせ明日になれば汗でぐっちゃぐちゃになるし」
「そうだけどよお…」
繁忙期になって、一気に外は暖かくなった。
流石に夜はまだ冷えるなって日もあるけど、玉川上水の土手に植えてある桜なんかは、もうちらほら花がついているのもあるくらいだ。
だから明日、作業入ったらすぐこんなんグッチャグチャになるんだろうけどよ…
手鏡を持って自分のあり得ない頭を見ていたら、がしっと手首をニノに掴まれた。
「ふぁ!?ど、どした!?」
驚いて見たニノの顔は、やっぱり真っ赤で。
でもそれは、何かを思い詰めている顔。