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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第5章 約束








思わず


ノートにメモを取っていた手が止まった。


「あの…」
「え?」
「…大丈夫ですか…?」
「何が?」

笑っている彼の表情はそのままで…
涙を流していた。

「泣いて…らっしゃるから…」
「ああ…」

二宮は、服の袖で顔を拭った。
少し俯いてから、また顔を上げた。

「これが、当日あったことです」
「そう…ですか…」

別れ話から、逆上して絞め殺してしまった。
よくある痴情のもつれというやつだ。

「ね?よくある話でしょう?」
「ええ…まあ…」

また二宮は微笑んだ。

なぜ…そんな顔で笑うんだ…

どうして、愛する人が自分を裏切って…衝動で殺してしまったというのに。

…それほど愛していたというのに…

そんな表情ができるんだ。

「愛して…いらしたんですよね…?」

あんまりにも…その表情とこの事件が繋がらなくて。

「愛していたから…殺してしまったんですよね…?」

アクリルの壁越しの二宮は、微笑んだままだ。

「そう、ですね」

短く答えると、左の手で胸を押さえた。

「とても、愛しています」

そのまま彼は黙り込んでしまった。

「…今でも…愛していらっしゃるってことですね…?」

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