第18章 こちら、アラシノ引越センター!
徳川さんや大野さんを追い出すように部屋から出してしまうと、姉ちゃんは興奮した口調で引越屋全体の悪口を言ってる。
それを母さんは溜息を付きながら聞いてるようだ。
俺、どうしたんだっけ…
全然思い出せない
それに、目が
どうしても開かない
「どうせあいつら脳まで筋肉でできてるんだわっ」
「まーちゃん…失礼なことばっかり言ってるんじゃないわよ…」
「だって母さん!」
「でもあの徳川さんって素敵ねえ…」
「う…まあ。あの人は脳筋には見えなかったけどぉ…」
「やっぱり支社長されてるだけあって、落ち着いているし、なんかいい匂いしなかった?」
「う…まあ。したかもしれない…」
母さんちょっと、ミーハーなんだから…
確かに徳川さんは素敵なナイスミドルだけどさ。
姉ちゃんは相変わらずだなあ…
素直に素敵だったって言えばいいのに。
もう頼むから大野さんには優しくしてよ。
あの人、冷たくされると硬直しちゃうみたいだから。
俺まで嫌われたらどうするんだよ。
それから姉ちゃんと母さんは、呼ばれて部屋を出ていった。
呼びに来た人を、姉ちゃんは「看護師さん」って呼んでた。
どうやらここは病院のようだ。
それはわかったんだけど…
俺、どうして寝てるんだろう。
さっき救急車って言ってたけど、そんなの乗った記憶もなかった。
ざわざわと遠くの方で人がいる気配はするけど、部屋の中は静かで。
何もヒントになるような音が聞こえてこなくて。
途方に暮れた。