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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第5章 約束


コップは智の頭の横を通り過ぎて、床に落ちて砕けた。

「最低…」
「…ごめん…」

静かに智は立ち上がった。
俺の横をゆっくり通り過ぎると、隣の部屋に入っていった。

心臓が、バクバクして…
冷静になることができない。

喉がカラカラで。

水が飲みたいのに、体が動かない。

やがて、隣の部屋から物音が聞こえてきて。
荷物、纏めてるんだ…

そう思ったら、駆け出していた。

「智っ…!」

部屋のドアを開けると、驚いた顔で智は振り返った。
その手元には、ボストンバッグ…

やっぱり、出ていく気なんだ。

「…もう、その人と付き合ってるの?」
「え?」
「だから、その好きな人とは付き合ってるの?」
「え…あ、ああ…」
「ほんと…最低だね」

ぎゅっと口を引き結んで、智は目を逸した。

「誰なの」
「…関係ないだろ」
「関係あるでしょうよっ…あんたのこと盗んでいったんだからっ…」
「……」

智は無言でまた、荷物を詰めだした。

「言いなさいよっ…なんで黙ってんのよっ…」
「言うだけ無駄だ」

庇ってる…
相手のこと、庇ってるんだ…

「なんで…俺よりも、そいつのことそんなに大事なの…?」

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