第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
俺と智の出せる金じゃ、二週間が限度だった。
それでも、翔ちゃんが何に悩んでいるのか、どうしても俺たちは知りたかった。
そう…どうしても…
知る必要が、あった。
だって、俺たちは…
祈るように調査結果を待っている間、潤と雅紀が智の誕生会をしようって言ってきた。
あまり乗り気じゃなかったけど、俺も智も息が詰まりそうだったから、行くことにしたんだ。
翔ちゃんは…やっぱり居なかったけど。
「よお!ニノ!智!」
先着していた潤が、相変わらず優しい笑顔を見せてくれた。
「今日は雅紀遅れてくるから…」
「うん、聞いてるよ」
「俺の誕生日の分も飲むぜ?」
「存分にどーぞ…」
去年の潤の誕生会から…5人で集まることはなくなってて。
翔ちゃんが忙しいからって、4人でも集まったり集まらなかったり。
今年の潤の誕生日は、ついに何もなかった。
去年の潤の誕生会と同じ場所。
半個室の居酒屋で、俺達は集まった。
いつものようにビールで乾杯して、いつものように喋った。
あの頃と何も変わらない…
変わったのは、ここには翔ちゃんはこないってことだけ。
それと…
「あのさ…翔くんは…元気なの?」