第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
「調査して欲しいのは、この人です…」
中学時代の卒業アルバムやらクラス名簿、仲間内で撮ったスナップ写真を用意しておいた。
「櫻井、翔と言います…」
由美さんは、俺たちに断ると写真を手に取った。
「どういったご関係の方でしょうか」
「俺達の幼馴染です」
本当に小さな頃から…一緒だった…
いつから一緒だったかなんて記憶がないくらい。
気がついたら、俺達は一緒に居たんだ。
こんな小さな商店街で、子供の数は当時から少なくなってた。
周りは大人ばかり。
どんどん居なくなっていく商店街の馴染みの顔。
俺んちみたいな子供向けの店や智の家みたいな老舗以外は、入れ代わり立ち代わり経営者も変わっていった。
それでも大きな寺の門前町だから、観光客や檀家なんかで賑わう。
近くにあるビジネス街のサラリーマンやOLが忙しなく行き交う。
そんな騒がしい街。
だからこそ、俺たちの結束は強くて。
「幼馴染…さんですか…」
「彼には、悩みがあるみたいなんです。それも深刻な…」
「と、いいますと?」
「面変わりするほど、窶れてしまって…でも俺たちには言わないんです…どうしてそうなってしまったか」
由美さんは写真に目を落とした。
「その原因を、調査すればよろしいんですね?」