第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「大野くん」
武蔵さんが俺の肩に手を置いた。
顔をあげると、武蔵さんは頷いた。
「救急車が来たら、一緒に乗り込んで行ってくれるか。業務だから時給は心配しなくていい。それで病院がどこになるか連絡くれ。後で俺か支社長が行くから。それまで頼む」
「あ、はい…」
「それから警察にはまだ…」
「…え?警察はだめなんですか?だって…」
「大方、アイツラがやったことだろうとは思うが、すまん!大野くん!今回は事情を先にアイツらに確認させてくれないか…」
俺に謝ることじゃねえだろ……
「大野くん…」
無視してたら、武蔵さんの声がちょっと焦ったものになってきた。
「二宮くんの怪我はちゃんと補償させてもらうから、だから…」
イラッとした。
「だから?だからなんだっていうんです。ニノは怪我してるんですよ?頭打ってるんですよ?後遺症とか残ったらどうするんですか?バイトだからどうでもいいってことですか?」
「いや、決してそういうことじゃ…」
「それに!」
びくっと武蔵さんの肩と眉毛が跳ね上がった。
「…謝るなら、俺じゃなくニノにしてください…」
「あ、ああ…」
後から考えたら、大きな声出して悪いことしたと思った。
でもこのときの俺は、腹が立って仕方なくて。
悪いのは藤島さんたちなのに。
武蔵さんに八つ当たりしたんだ。
「あ、救急車来た!」
社員さんが後ろで救急車を誘導している。
サイレンの音がだんだん近づいてきて、俺たちの後ろで急停車した。