第18章 こちら、アラシノ引越センター!
武蔵さんがスマホを手に持って隣に駆け込んできて、ニノの血を見て青い顔をした。
「大野くん、動かしちゃだめだ!頭打ってるから、このままで!」
リュックを背負ったままだったけど、頭を動かしたらいけないから下ろすこともできなかった。
「救急車呼びました!」
振り返るとセブンの店員さんがこちらに向かって手を振ってくれてた。
「ありがとう!助かった!」
武蔵さんは叫び返すと、スマホをスワイプした。
「あ、もしもし?武蔵だけど、野瀬?…ああ、支社長に伝えてくれる?二宮くん見つかったけど負傷してて意識がない。救急車呼んでるから、そっち行くの遅くなるって…」
武蔵さんが電話をしている間、ニノの血を拭いてあげたくて。
でもポケットにハンカチも何も入ってなくて。
「ニノ…ニノ…」
そっと手を握って、名前を呼ぶことしかできなかった。
「武蔵さん!!二宮くん無事ですか!?」
いつの間にか駐車場にうちの引越センターのハイエースが数台停まってた。
中から降りてきたのは、作業員の社員さんたちだった。
「こっちだ!動かせない!ちょっとこっち来てくれ!」
武蔵さんが社員さんたちを呼ぶと、交通整理などするよういろいろと指示してる。
俺はもうニノのことで頭がいっぱいで、そんなこと一つも頭に回らなかった。