第18章 こちら、アラシノ引越センター!
すぐに武蔵さんと事務所を出ると、営業車のハイエースが停まっているところまで走った。
今日は仕事納めだから、誰も営業に出ていない。
全車揃って停まっているのは初めて見たかも。
武蔵さんはキーに付いている車のナンバーを確認して、ハイエースに乗り込んだ。
俺もその助手席に走り込んだ。
「ちっくしょー…詰めが甘かったな…」
「え…?」
駐車場から国道に出るとこで停車した。朝だから車が途切れない。
武蔵さんは苛立った声を出した。
「昨日の忘年会で、警告の意味で噂流したんだけど…思った以上に奴らビビリだったみたいで…まさか今日動くなんて…」
「う、噂ってなんですか…?」
「…俺と潤…支社長が現場の視察行くって話」
「ああ…なんか、聞きました。え…?でもあれでなんでビビるんですか?」
「後ろ暗い事してるからだよ。だから過剰反応したんだと思う。だから噂でビビらせて旨い酒飲ませてやるかってね。で、視察じゃなくて逆手に取って今日の締め作業のときに糾弾してやろうと思ってたんだよ」
「え…だから俺たちに外に行けって…?」
「そう」
武蔵さんは体を乗り出して左右確認すると、ハンドルを切ってハイエースを国道に滑り込ませた。
出していたウインカーの音が途切れた。
急に車内がシンとした。
「昨日忘年会で奴ら早々に帰ったけど、きっと別で飲んでて盛り上がったんだろうな…チクった奴らに制裁するって…」
ぎりっと奥歯を噛みしめるような音が聞こえた。