第18章 こちら、アラシノ引越センター!
慌てて事務所に駆け込むと、武蔵さんが何かを察したのか飛び出してきてくれた。
「どうした?」
「あ、あの…稲葉さんが武蔵さんを呼んできてくれって」
「うん。わかった」
武蔵さんが外履きに履き替えると、一緒に事務所を出た。
「大野くん、何かあった?」
「あの…俺のロッカーに生きた子猫が…」
「えっ!?生物?」
「はい…」
「うっそだろ…?」
俺、なんかしたかな…
これって嫌がらせだよな?
今日は稲葉さんがいたからリュックを乱暴にロッカーに投げ入れることはしなかったけど、いつも通りしてたら…
もし大丈夫だったとして、俺が今日気づかなくて、このまま冬休みに突入して。
年明けにこのロッカーを開けたら…
そう思ったらゾッとした。
「大野くん、大丈夫?」
武蔵さんは怖い顔をしながら、駐車場奥のゴミコンテナの方を見た。
「気にしなくていいから」
「え…でも…」
「いいから。君のせいじゃないから」
チッと舌打ちすると、ロッカー室のドアを開けた。
「雅紀」
「あ…武蔵さん!」
稲葉さんは変な姿勢で、別のロッカーに張り付いていた。
「ねえ!ここ、誰のロッカー!?ここからも音がする」
「うっそだろ!」
ふたりしてロッカーに張り付いて中の音を聞いている。
「ちょっとロッカーの鍵持ってくるわ」
武蔵さんは急ぎ足でロッカー室を出ていった。
「おーちゃん!こっちの子みといて」
稲葉さんは俺のロッカーにあった紙袋を顎で指した。
「あ、はい!」
ベンチの上に置かれている紙袋の中身は、底に横たわってあまり動こうとしていなかった。